農家が作った、自分たちを楽にする自動化システム
悠々システムとは、小さな施設園芸向けの統合制御装置のこと。
データロガーや自動制御装置を組み合わせて、日々の繰り返し作業を減らすことができる仕組みです。
農家である私が、とにかく簡単な作業は省力化させたいと思って作りました。
- 気温が高くなったら、自動でビニールハウスの換気
- 水が無くなると、投入
- 肥料が薄くなったら、追加
- これらをスマホで見たり、操作も出来る。メールやLINEで教えてくれることも
- 集めた環境データは扱いやすいデータ形式でどこでも見れるため、から、収穫量予測や、書類作成に利用できます
私は新規就農者で小さなハウスを建てて、葉物野菜を湛液水耕で作っています。ですが、いざやってみると年中無休でひたすらに作業に追われる毎日。
悠々自適な雰囲気を求めたけど、それとは真反対な現実がありました。
毎日の反復作業を何とかしたいと思って、自分のために試行錯誤しながら作ったのが、悠々システムです。
悠々システムは、ただの農家が作った手作りの仕組みです。粗削りな部分がまだまだあるし、手作り感がたくさん残っています。
でも、自分の身の丈に応じた価格で、楽になれるような、欲しかった機能はたくさん詰め込みました。
同じように、農作業に追われる方の手助けが少しでも出来ればと思って作りました。
詳細を以下で紹介するため、見てください。
どんなことができるの?
悠々システムは、小さな施設園芸向けの統合制御装置。
データロガーでハウス内の気温等を取得し、それに合わせて、開閉作業等を自動化します。
目的は簡単な繰り返し作業の省力化です。
私のような小さな農家は、大きく人手に頼ることも出来ないため、ちょっとした単純作業は自分でやることがほとんど。
ビニールハウスの開閉巻き上げ、定期的な水やり…等々。
言い方は乱暴ですが、考えなくても出来るような単純作業に日々の時間がとられています。
反面、本当に腰を据えてやらねばいけないような、作物の生育状況の観察だったり、売り方や作り方を考える時間が取れず、後回しにすることもあるのではないでしょうか。
少なくとも私はそうでした…。
▼資本的にも乏しかったため、数年前に自分の電子工作で作った仕組みがスタートでした。
ビニールハウス内、給水の自動化完了。
僕がお休みしても、野菜はスクスク水を飲むことが出来ます。
Arduino+電磁弁制御。
ちなみに、配線関係はぐちゃぐちゃでヒドイ。
でも、「完璧を目指すより、終わらせろ」という言葉があるので、これで完成。
次回のアップデート時まではこのまま進めます。 pic.twitter.com/Gy4Uz9ziAA— 悠々@野菜づくりを自動化する人 (@nadehisashi) August 24, 2018
ネットに繋がったり、自分でデバイスそのものを作るようになったりと…出来ることが増えて、製作依頼も増えたことで販売することにしました。
- 温度・湿度、太陽の強さや、CO2濃度を測定&記録
- 温度が高くなってきたら、側窓を開け、遮光カーテンを広げる
- 日照りに合わせて、潅水する
また、悠々システムはインターネットに繋がります。
スマートフォンやPCがあれば、家にいながら、ハウスの気温や湿度、光の強さなどを知ることができますし、操作や設定を変更したりすることもできます。
現在のラインナップ
悠々システムのデバイス同士は全て無線で交信し、インターネットを通じてクラウドに繋がります。
データロガーで取得したデータは、スマホ等で確認できるだけでなく、その値を元にカーテン巻き上げをしたり、潅水に使うことができます。
データロガー
ハウス内で以下の項目を測定できます。
2分毎に値を取得し、他のデバイスとの共有&スマホなどで確認できます。
データの蓄積は、Googleスプレッドシートに15分毎に記録。スプレッドシートを使うことで、エクセル形式等でデータをダウンロードして頂けます。
- 温度
- 湿度
- 照度(疑似的に日射量)
- CO2濃度
- 水温
- EC
- 廃液水温、廃液EC、廃液量
潅水
カーテン巻き上げ
悠々システムの特徴
スマートフォンから設定変更、操作できる
野菜の出荷中だったり、家族が病気になった時…ハウスに行きたくてもいけないタイミングって絶対あります。
それでも、野菜が育つ仕組みは必須だと考えているため、ほとんどの全ての操作はスマートフォンやPCから行えるようにしました。
基本的には自動で作業を行ってくれる仕組みですが、動作設定の変更もインターネットを通じて遠隔から操作できるようにしています。
自分たちで修理できる
悠々システムに使うセンサーなどは、不具合が出たときに、ご自身で交換できます。
もちろん、全部を直すことは無理かもしれませんが、センサー交換くらいなら、Amazon等で売られている製品を購入して頂き、ご自身で交換できます。
多くの部分を汎用的なパーツで構成しているため、多少の不具合ならご自身でメンテナンスできるようにしました。もちろん、修理の仕方などもお伝えします。
入手後もアップデートされていく
ネット環境を通じて、日々プログラム等をアップデートしていきます。
スマートフォンのようなイメージです。
買って、終わり。ではなく、買ってからも最新の状態でお使いいただけます。
私は業界数十年のベテラン…等ではありません。まだまだ未熟の身ですが日々、出来ることは増えていきます。
ですので、自分の成長にも合わせて、販売済の製品もどんどんアップグレードさせていきたいと思っています。
価格
注意:制御盤だけでは物を動かすことはできません。
水を出したり、止めたりするためには電磁弁が必要だったりと、制御盤を使って制御する部品が必要になります。その部分も一体となったものを現在開発中です。しばらくお待ちくださいませ
連絡先
悠々システムは1つ1つ手作りで作成し、自分のハウスで動作確認をしてから、お渡しします。
そのため、注文から納品までは1週間以上のお時間を頂きます。
製品化への踏切りの想いなど…蛇足。
ここまで長い文章を読んで頂き、ありがとうございました。
実は、悠々システムは製品を販売するというより、作り方を教えたいと思っていました。
私はそもそも教えるのが好きなようで、過去には、本ブログでも自動化について記事も色々と紹介していますし、電子工作に使う工具の使い方等をYoutubeにもいくつかアップしたり、同人誌も書きました。
また、「教える」は仕事としても関わらせて頂いていて、2020年4月より情報系の専門学校、清風情報公科学院にて週に一度教壇に立たせて頂いています。
これらの過程で、もし、作り方を完璧に伝えられたとしても、出来上がるまでに非常に時間がかかることに気が付きました。
おそらく、悠々システムは時間があれば誰でも作れます。
現に、私もまったくの素人状態からスタートです。
ただし、1日10時間程度は調べものや作業を2年費やしました。
ただでさえ忙しい農家の方に、同じことは勧めるのはどうなの…?と思い、それならば作ったものをお渡しした方がお互いのためだなぁと思って、今に至ります。
販売については、未だにこれで良かったのか?と思う時があります。
ですが、かつての自分と同じように、単純な作業で浪費している農家の方の負担を少しでも減らせるならば、目的は達せられると感じています。
悠々システムによって、省力化できたことで、より良い作付け、経営。家族や大切な人と過ごす時間の増加が叶えば、製作者として非常に喜ばしいことです。
良ければ、ご検討ください。