水耕栽培において、水の投入を自動化する方法を紹介する記事。
水で植物を育てる水耕栽培。
土を使わずに育てられるけど、水の管理は結構大変!ということで、自動化する方法を考えてみました。
- 水耕栽培は水が命
- 水が切れると、植物はダメになってしまう
- だから、自動で水と液肥を投入したい
- 何とかしよう!
- 先日作った、水位センサーとか組み合わせたら作れるはず…
ということで、
水・液肥の自動投入システムを作りました。
結論から言うと、
簡易的な自動化だけど、
すごく便利!!
水の量を確認して、水を入れたり、液肥を入れたり…
こんな作業が劇的に減ります。
すると、時間に余裕ができます。
より植物の観察に力を入れたり、もっとたくさんの植物を管理することもできます。
ということで、
簡易版ですが、水・液肥の自動化について紹介したいと思います。
Twitterで進捗をちょこちょこつぶやいてます。
水耕栽培、EC自動化の経過報告。
以下、実験できたこと。・ECのリアルタイム計測
・スマホで数値確認
・液肥濃度を自動で保つように液肥投入
・スマホで液肥濃度も設定今後、ビニールハウスに持ち込んで、実験進めます! pic.twitter.com/MLq5kAEHDf
— 悠々@野菜自動化、注力中 (@nadehisashi) 2018年9月17日
目次
システムの簡単な紹介
今回の自動化では、プログラミング無しで、水耕栽培の水&液肥を自動投入します。
動きは以下のイメージ。
- 水の量を感知
- 水が減ったら、自動で水を投入
- 液肥を薄めて、一緒に入れる
- 水が増えたら、動作を停止
今まで、僕たちがしていた
水の量を確認して、水を足して…液肥も足して…という動作を減らすことができます。
また、作るためには電子工作がちょっと出てきます。
電子工作を全く使わないバージョンも考えました。後述する「効率的な運用方法」に書いてます!
電子工作!?そんなん絶対無理やわぁ…なんて思わず、軽くやってみっか…くらいなフットワークで挑戦して頂ければ嬉しいです。
特に、関連記事では初心者でもできるだけ真似できるように解説しています。ぜひご覧ください!
システムを実現するために
さて、今までに公開した3つ記事を組み合わせると、今回のことが実現できそうです。
- 電気のON・OFFで水を投入する、電磁弁
- 水位によって、電気をON・OFFできる、水位センサーリレーモジュール
- 水道が流れると、自動で液肥を希釈してくれる、液肥希釈キット
ということで、これらを組み合わせる方法を紹介していきたいと思います。
水の自動化:水位の動きについて(イラスト)
電磁弁、水位センサーリレーモジュール(以下、水位センサー)というアイテムを使うと、だれでも水の自動化がだれでもできます。
イラストで説明してみましょう。
0.(初期状態)電磁弁が開き、水が出る
電磁弁とは、電気の力で開けたり閉じたりできる弁のこと。
これをセンサー等で動かして、自動で水を入れたり、止めたりします。
まずは、電磁弁が開いて、水が投入されます。
1.(水が増えて、黒に到達)水が出る
だんだんと水が増えてきました。
水位センサーからは3色の電線が伸びています。
赤・黄・黒のうち、黒に水が到達しました。でも、そのまま出続けます。
2.(水が増えて、黄に到達)水が出る
水かさは増えて、黄色を超える。この時点でも水は出たまま。
3.(水が増えて、赤に到達)水が止まる
さらに増水し、赤に到達。
ここで電磁弁が閉じる。水が止まる。
ここからは、水が減っていきます。
植物が水を吸ったりして、減っていくイメージをしてもらえればいいかと思います!
4.(水が減って、黄は水没)水が止まる
水が減っていき、黄と黒が水没している状態。ここでも水は止まったまま。
5.(水が減って、黄が露出)水が再び出る
水かさは減り、黄色が水の外に。この時、電磁弁が開いて、水の投入が再スタート。
これで1に戻ります。以降、繰り返し。
どうでしょうか。
これが、水を入れる、一定で止める、減ってきたらまた入れる…の流れになります。
液肥を投入する方法
液肥の投入には、タカギのかんたん液肥希釈キットを使います。
その名の通り、液肥を水に薄く溶かしてくれる装置。
- ホースの先に取り付ける
- 混入器に液肥をセット
- 水を出す
- すると、セットした液肥を約200倍に薄めて、水に溶かす
- 液肥入りの水が出す
先ほどの水位センサー、電磁弁から伸びるホースの先に、この液肥混入器に接続。
すると、水が出るときに液肥を溶かして、液肥が入った水を自動で投入してくれるはず。
これらを合わすと、出来そうな予感がしてきました。
実際に作ってみる
それでは、実際に作ってみましょう。
水位センサーモジュール、電磁弁、液肥希釈キットは組み立て済のものを使います。
詳細な組み立て方は、以前の記事で紹介しています。そちらをご覧ください!
0.材料の紹介
- 電磁弁 ×1
- DC12V ACアダプター ×2
- ホース ジョイント G1/2メスネジコネクター ×2
- 水位センサーリレーモジュール ×1
- ホース 適当(あるものでOK)
- コック付き3つ又ジョイント ×1
- かんたん液肥希釈キット ×2
上記の材料は、2種類の液肥を使うことを想定しています。
大塚ハウス、ハイポニカ等を使っている場合は上記の材料でOK。
大塚ハウスは、1、2、5号を使っている場合、肥料を溶かした濃縮液を、1号と5号は混ぜてOK。
つまり、1&5号の濃縮液、2号の濃縮液の2つで管理することができます。
1.電磁弁をホースと接続
電磁弁にはACアダプター(電源)を取り付けておきます。
▼電磁弁にホースを取り付けやすいようジョイントを取り付けます。
▼ジョイントを取り付けます。
▼両側に取り付けて、完成。
電磁弁には水を流す向きがあります。
水が流れる方向は、「→のマーク」を見てください。
この写真では、右下から左上に流れると表示されています。
▼矢印の先にホースを取り付けます。
▼ジョイントがメス同士なため、中間にジョイント同士を取り付ける製品が必要でした。
▼電磁弁にホースを取り付け完了です。
2.液肥希釈キットに電磁弁を取り付ける
液肥希釈キットの記事で登場した、3つ又ジョイントに電磁弁を取り付けます。
▼水道の蛇口側へに取り付けます。
▼さくっと、取り付け完了。これで、電磁弁と3つ又ジョイントが繋がりました。
▼3つ又ジョイントの先には、液肥希釈キットまで取り付けておきましょう!
3.水位センサーをつなぐ
ここまでくれば、あと少し。
次は、電気系を触っていきましょう。
まず、水位センサーを過去記事の通り、組み立てておきます。
水道のタイマーと組み合わせると、電気をいじらずとも簡単な定期運転はできます。
朝と晩の15分だけ、液肥入りの水を入れる・・・のような。
詳細は、後述の効率的な運用方法の欄に書いておきます。
▼電磁弁と水位センサー付リレーモジュールを組み合わせます。何度も言いますが、ここまでは過去の記事を読んで作業を進めてくださいませ!
▼電子弁につながるACアダプター。
水位センサーから伸びるコンセントプラグに取り付けます。
▼このようになりました。
これで、水位に応じて電磁弁を開閉する動きができます。
後は、写真の左上のコンセント(オス)を、AC100Vの家庭用電源にさせば動作します。
▼これです。普通に使ってある電化製品と同じですね!
また、水位センサーの確認をしておきましょう。
今回は、水位センサー、リレーがONになったときに、電磁弁を動かす…という動作にします。
そのため、2番、3番にコンセント類を取り付けます。
▼水位センサーの電線長さは短いため、延長しています。はんだ付けをした後、ビニールテープを巻いて、絶縁しています。
▼家の中で、コップに水を入れ、動作確認。
思ったような動きになっているか、しっかり確認しておきましょう!
赤・黄・黒の電線がありますが、動作のイラストと同様、上から赤・黄・黒の順で配置です。
▼電磁弁が動いているかどうかは分かりにくいですね。でも、ACアダプターのLED、リレーの基盤のLEDの2つで判断しましょう!電磁弁が動いている=通電しているときに、光っています。
これで、組み立ては終わり!
後は、取り付け、防水対策(電気系)などを行えば、全部完了です!
実際の取り付け・動作
それでは、実際に取り付けて動かしてみましょう。
ここでのポイントは、次の3つ。
- 最低水位と最高水位の設定
- 液肥濃度の調整
- 防水対策
水位の設定
イラストで説明した通り、水位は電線の配置により決まります。
▼ペットボトルに水位センサーの電極をセロハンテープで貼り付けました。
これだと、最高水位まで水が入り、最低水位を下回ると、また水が投入されるはず。
▼水槽にペットボトル(水位センサー)を投入し、ここに液肥入りの水を入れてみることにしましょう。
▼上で組み立てた、電磁弁や液肥希釈キット、水位センサーをすべてつないだ様子です。
▼液肥は大塚ハウス。1&5号、2号の濃縮液です。
▼液肥希釈キットの肥料を吸い上げるチューブを液肥に差し込みます。
▼手前に見える電磁弁には、水道の蛇口が繋がっています。
この状態で、水道の蛇口をON。
…水は流れません。
現在は水位センサーに電気が流れていなく、電磁弁に電気が流れていません。
つまり、電磁弁は閉まっており、水は止まっています。
それでは、電源を入れてみましょう。
(ポチッ)
出たー!!!!!
…勢いよく水が出ているところを撮影したかったのですが、一瞬で水が入ってしまいました。
▼水位センサーの赤線電極部分でピタッと水位は止まっています。大成功。
水に見えますが、これには希釈した液肥が溶けています。ECを測ってみましょう。
▼ECは0.67。液肥は入っていますが、薄いですね!
液肥希釈キットの記事で書いていますが、濃縮液の濃度を変更することで、ECはもっと高められます。
水位を説明する写真が少なくて申し訳ないんですが、
水位センサーによって、水位を保ちつつ、液肥入りの水を自動投入をすることができました。
これ以降の動きとしては、イラストで説明した通りです。
- この状態で水の投入は当分ストップ
- ここから植物が水を吸い、水位が下がっていく
- 黄色の電極より、水が下がる
- すると、水の投入が再スタート
- 赤線部分まで水が入り、半永久にこの動きを繰り返す
防水対策
水位センサーの基盤部分、ACアダプターなどの電気系は水分大敵。
水にぬれると、不具合が起こったり、感電・火災になる危険があります。
タッパーに入れたり…など、しっかりと防水対策をしておきましょう!
効率的な運用方法
実際の家庭菜園では、複数の容器で育てている…とかもあるでしょう!
そこで、現実的な使い方…について考えてみました。
電気系が不安なんだけど、なんとかならない?
電気の知識がないのに、制御するなんて、不安…。
こんな気持ちは良くわかります。
ということで、電気系を全くいじることなく、液肥入りの水を投入する方法を紹介しておきます。
▼蛇口に市販のタイマー付電磁弁を取り付けます。
これだけでOK。
すると、水位ではなく、朝・夜の15分間だけ…など、時間で定期的に液肥入りの水を投入してくれます。
これだけでも水の管理がかなり楽になるはず!
他の用途にもホースを使いたい
庭のホースを今回のシステムに使ってしまうと、他に散水するときに不便…
そんな時には、分水ジョイントを根本につなげば解決。
分水したホースの1つを、今回のシステムにつなぎ、他のホースを別の用途に使いましょう!
ちなみに、タカギの製品をよく使う…という場合は全てをタカギ製でそろえるのが水漏れが少なくてオススメ。
タカギ製、他社製を合わせて使うと、にじむ程度ですが、どうしても水漏れが発生することが多いです。
複数のタンクに水を入れたい場合
これを読んでいるあなたは、
複数の容器で水耕栽培をしているかもしれません。
もし、今回のECの簡易自動化を複数の容器でしたい…というのなら、ちょっと難しいかも…。
理由は、コストがかかってしまいます。
▼昔の写真ですが、僕も、たくさんの発泡スチロールで栽培していました。
複数のタンクに液肥入りの水を入れて自動化したい…と考えた場合、コスト的に諦めました。
そこから学んだことは、自動化を目指すなら、大きい容器が便利だということ。
ですので、これから容器を作る方は、大きい容器での栽培を目指すと良いんじゃないかと思います。
大きい容器はホームセンターの材料とDIYで簡単に作ることができます。詳細は噴霧式水耕装置の記事をご覧ください!
親タンクを用意する
それでも!
いくつかのタンクを自動化したいんだ!!という場合は。
親タンク、子タンクという風に分けるとできるかもしれません。
- 親タンク→水位センサー、今回のシステムを設置
- 子タンク→水位センサー、親タンクにポンプを設置し、親タンクから水を送る
水位センサーで、ポンプをON、OFFし、液肥が入った親タンクの水を子タンクに送ります。
これだと、1000円未満の直流ポンプ、500円の水位センサーで運用することができるはずです!
【高水温対策】早朝運用
夏場、ホースに日が当たってしまうと、内部の水道水はすごく熱くなります。
今回のシステムも、日が当たる場所に置いておくと、すごく熱い水を自動で投入することになってしまいます。
もし、熱くなった水を植物に与えてしまうと、最悪枯れてしまうかも…。
対策としては、日が当たらないようにする…なんですが、なかなか難しくはないですか?
その場合、早朝だけ運用することオススメします。
このシステムは電磁弁・水位センサーに通電しないと動きません。
だから、デジタルタイマーを使って、明け方にのみ通電するようにすればOK。
水が熱くなっていない時間帯のみ、動かすようにすれば、少ない手間で高水温対策ができますよ!
体験者コーナー
体験者コーナーです。
当記事を読んで、実践してみた!という方がいたら、ここで紹介させて頂きます。ブログのURLや、Twitterの投稿なんかを教えてください。
コメントor TwitterでDMを受け付けております!
この記事を読んでくれる人のセカンドオピニオン的な存在になるかと思っていますので、ぜひぜひ教えていただれば嬉しいです。
+α Arduinoで完全自動化
Twitterでつぶやいてますが、プログラミングを使うことで完全な液肥濃度の自動化に挑戦しています。
今回の簡易版では、EC濃度1.3の水を自動で投入することはできます。
でも、ECを測定し、測定した濃度に合わせて液肥だけを投入する…ということはできません。
完全なる自動化は、
プログラミングを使って、EC濃度に合わせて液肥を投入するということを行います。
完成したら、公開します!
やったーーー!!!
水耕栽培の液体濃度の値を得ることに成功(EC)
前に給水は出来たから、
液肥濃度まで完全自動化出来るぞ!!
そもそも、専用のセンサーを買えば、8000円以上かかるんですが、これだと300円以下。
僕も教えてもらったから、
また、みんなと共有していきたい!! pic.twitter.com/zIAsdhr3YR— 悠々@野菜自動化、注力中 (@nadehisashi) 2018年8月26日
水耕栽培、EC自動化の経過報告。
以下、実験できたこと。・ECのリアルタイム計測
・スマホで数値確認
・液肥濃度を自動で保つように液肥投入
・スマホで液肥濃度も設定今後、ビニールハウスに持ち込んで、実験進めます! pic.twitter.com/MLq5kAEHDf
— 悠々@野菜自動化、注力中 (@nadehisashi) 2018年9月17日
まとめ
水・液肥投入の簡易的な自動化方法でした。
- 水・液肥の投入を自動化した
- 電磁弁・水位センサーモジュール・液肥希釈キットを組み合わせたら、できます
- 組み立てはちょっと手間
- でも、単純作業量が減ります。
- そうすると、植物の観察などに時間を充てられるよ!
消耗品ではないから、一度作ってしまえば、ずっと単純作業を削減することができます。
ちょっと旅行に行きたいな…ということもやりやすくなるし、植物をじっくりと観察する時間も増えるでしょう!
夏場、水の補給に駆けずりまわるのは、めちゃくちゃ大変ですよね…。
これで、少しでも開放されることを願っています!
とても長い記事になってしまいました。ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
初めまして!
アクアリウムの自動水換え装置を考え調べてるうちにこちらに辿り着き参考にさせて頂きました。
私が考えたのはタイマーでポンプを動かし定期的に水を排出します。
水位かが下がるとフロートスイッチがオンになり電磁弁が開き水道から水が出ます。
この仕組みだと水位センサーは使用せずに水換えが出来るのですが問題があります。
水面が揺れるとフロートスイッチがオンになったりほんの少し水が減っただけでもすぐに水を入れる事になります。
理想では水槽の水位が3分の2になってから水が入り最高水位で止めるというものです。
そこで何かアイデアを頂けないかと再度ブログを読ませて頂きました。
質問なのですが水位センサーを使って電極スイッチを動かすやりかただと上記の問題が解決しそうなのですが電気が流れるとなると熱帯魚に影響はないでしょうか?
またこの仕組みをフロートスイッチでするのは可能ですか?
以上何かご教授頂けれは幸いです。
厚かましいお願いですいません。
宜しくお願いします。
タカヒロさん、こんにちは。
考えておられる、自動水替え装置、可能だと思います。
動きをまとめると…以下の通りだと思います。
・定期的に、水槽の水を外へポンプで排出
・水槽の水が2/3になったら、水道から水を入れる(カルキ抜きのため浄水器を経由?)
また、「水面が揺れるとフロートスイッチがオンになったりほんの少し水が減っただけでもすぐに水を入れる事になります。」
この部分ですが、意外と気にしなくて良いかもしれませんよ。
僕も試したことがあるのですが、実際に運用してみると以外と大丈夫だったりします。
人間にとっては少し不快ですが、慣れると普通になります笑
また、実際に運用するとなると、安定性が何よりも重要になってくると思いますので、市販のものを組み合わせて作るのも手です。
▼このような水位が減ると勝手に水が出て、満水になると止まるフロートスイッチを水道の先に装着、水槽の中へ入れます
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▼コンセントタイマーで、ポンプを動作させます。コンセントタイマーは1分刻みで動かせるよう、デジタルタイマーが良いでしょう。
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▼スマートコンセントでも楽しいかもしれませんね!
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以上、良い解決方法が見つかれば幸いです!